欲しい株は安く買うのは当たり前のことだけど…
欲しい株をいかに安く買うか?投資家はみなここに血道をあげている。安く買うことができれば、株価が上がった時の含み益が大きくなる。安く買うことができれば、配当利回りが高くなる。
だけど、増配株の場合に配当利回りの成長度も大きく変わることを自覚できているだろうか?
配当利回りの成長速度は、取得金額によって大きく変わる
検証してみよう。とある銘柄をAさんは1000円で、Bさんは2000円で買ったとしよう。
この銘柄はEPSが年20%成長する優良株だ。
配当金は40円。1000円なら4%、2000円なら2%でスタートになる。
これが10年連続増配したとして、最終的な利回りはどうなるだろうか?
時間 | 配当金 | 1000円 で取得 | 2000円 で取得 |
---|---|---|---|
1年後 | 40円 | 4.0% | 2.0% |
2年後 | 48円 | 4.8% | 2.4% |
3年後 | 57円 | 5.7% | 2.85% |
4年後 | 68円 | 6.8% | 3.40% |
5年後 | 81円 | 8.1% | 4.05% |
6年後 | 97円 | 9.7% | 4.85% |
7年後 | 116円 | 11.6% | 5.08% |
8年後 | 139円 | 13.9% | 6.95% |
9年後 | 166円 | 16.6% | 8.30% |
10年後 | 199円 | 19.9% | 9.95% |
結果、Aさんは利回り約20%、Bさんは約10%になった。
初年度の利回りの差は2%だったが、10年後には利回りは約10%も開いてしまった。
二人の取得単価には2倍の差があり、それがそのままずっと配当利回りの差にもなるのだ。
将来的に利回り10%以上のポートフォリオを目指すなら…
個人的に掲げている目標として「利回り10%以上のポートフォリオ構築」がある。なぜこの目標を持ったのか?まずはメインで投資しているインデックス投資から説明したい。
S&P500をはじめとしたインデックス投資は長期的に年3-4%成長の期待値がある。ここ数年はすごいことになっているのはさておき。
そんなインデックス投資においてよく利用用途として出てくるのは、リタイヤ後の生活費だ。十分に資産を積み上げたのち、リタイヤによって収入がなくなった自分の拠り所とするわけだ。
となると当然ながらこれらの資産を切り崩していく必要がある。よく知られているのは4%定額取り崩しの手法だ。トリニティ・スタディという研究結果に基づく手法。
1998年にトリニティ大学の研究者が発表した。毎年4%を引き出した場合、株式が50%以上の比率であれば、30年後にも資産が残る可能性は95%という研究結果が出た。
ただ私は普段の株式取引を通じて、大きな含み益を持つ株の売却に抵抗を感じることがよくある。長く積み上げたインデックス投資なら資産も膨れているはずでなおさら抵抗があるだろうとも思う。
そして長い人生の中ではこのインデックス投資の資産価値は大きく下がる日もあるだろう。下降トレンドに入る時期もあるはずだ。そんな資産価値下降中に継続して取り崩しができるのか、私は少し不安になる。仮にできるとしても不安を感じずにいられるだろうか?
一方で高配当株投資は、自分で取り崩す必要がなく配当が支払われる形だ。これは「取り崩さねば」という抵抗がない。また長期的に増配していけば利回りは10%以上になっていくだろう。事実、私のポートフォリオには9%超えの銘柄がいる。この銘柄については投資してまだ5年も経過していない。
株価は日々値動きが大きいが、配当金は年数回しか変わらず安定している。また累進配当宣言があれば減配を心配することもない。つまりインデックスを取り崩す場合、入金額はその時の資産価値により多少変動するリスクがある。一方で配当であればほぼ変動はなく安定していることが利点だ。
だから私は利回り10%のポートフォリオ構築を目指している。というか利回り10%はあくまで目安。成長し続けるポートフォリオ構築を目指している。そのために必要な要素が優良な増配株だ。
ということで「増配株を安く買うことを心掛けよう」という冒頭のテーマに繋がってくる。これは目標までの道のりを短縮するための大事な意識なのだ。
銘柄選定のコツ
最後にいくつか私が意識している点も紹介したい。
まず発射台は高く持とうという話。初回購入はできる限り配当利回りが高い状態で始めたい。配当利回り2%から始まるより5%で始めるほうが実現までのリードタイムは短くて済む。
次に優良株を選定しようという話。配当利回り5%ともなれば罠銘柄も多い。だからこそ優良株に限定して選定を進める必要がある。売上・EPSの成長が順調であり、かつ減配がなく、配当性向が安定していること。連続増配ならなお良い。
そしてEPSの成長度も重要だ。EPSは1株あたりの利益であり、そこから〇%が配当として支払われる。このパーセンテージを配当性向という。そのためEPSの成長度が高いほど、配当はグングン伸びる。
まとめ
- 取得単価次第で配当利回りは変わる
- それだけでなく将来の配当利回りに大きく影響する
- 優良な増配株を選定しよう
- 高利回りならなお良し、増配の発射台は高いほうがいい
- 成長度が高いならさらに良し、配当はぐんぐん伸びる